金属3Dプリンターのメリット・金属材料が使えるので最終製品の製造に最適

金属プリンターは、物体を3Dで出力する3Dプリンターの中でも、その材料として金属が使えることが魅力です。この記事では金属3Dプリンターのメリットについて紹介すると共に、よく使用されている金属プリンターの方式についても解説していきます。

金属3Dプリンターのメリットを紹介

3Dプリンター

金属プリンターは、物体を3Dで出力する3Dプリンターの中でも、その材料として金属が使えることが魅力です。図面を使わず、3Dデータを元に立体を出力する装置3Dプリンターは、2013年頃に日本でも大きなブームになりました。一般家庭向けの3Dプリンターが販売されるなど、ブームは大いに盛り上がりましたが、安価な製品の出力クオリティが低いことがわかると人々は離れていきました。しかし、業務向けの3Dプリンターは進化を続けており、特に金属材料を扱える3Dプリンターは、幅広いもの作りの分野にて利用されています。

金属3Dプリンターとは

金属3Dプリンターは、2014年に「レーザー焼結法」という3Dプリントの方式の特許が切れたことから広がりを見せ始めている3Dプリンターです。このレーザー焼結法では、粉末状の素材を使って立体成型を行いますが、通常の樹脂に加えて、従来の方法では使用することのできなかった金属が使用できます。
金属が3Dプリンターにより加工できることは、今後のもの作りに大きな影響を与えることは間違いありません。これまでは大がかりな鋳造機や溶接、鍛造などの方法で加工されてきた金属が、あたかも紙に印刷するかのような手軽さで成型されることは偉大なる技術の進歩だと言えます。地球上に文明が生まれた頃から存在する金属加工が、3Dプリントという形で実現する。これは、これまで樹脂材料を使い、試作品などの製作が主目的であった3Dプリンターで、最終製品の生産が可能になったことを意味します。

金属プリンターの方式

・レーザー焼結法
レーザー焼結法は、「Selective Laser Sintering(SLS)」と呼ばれることもある3Dプリンターの造形方式で、金属3Dプリンターの多くがこの方式を採用しています。他の造形方式と異なる点は粉末の材料を使用すること。そのため、材料の取り扱いには注意を要するものの、さまざまな材料に対応しています。
レーザー焼結法では、造形ステージと呼ばれる場所に粉末状の樹脂や金属材料を敷き詰め、そこにレーザーを照射することで材料を固結させ層を作ります。この作業を繰り返し、層を重ねていくことで立体が成型されるというわけです。同様の原理で高出力のレーザーを使用する「直接金属レーザー焼結法」という造形方式もあり、高精度の造形が可能なことから航空宇宙産業におけるパーツ製作などに利用されています。

レーザー溶融法

金属材料を扱えるもう一つの造形方法が「レーザー溶融法」です。レーザー溶融法は「Selective Laser Melting(SLM)」とも呼ばれ、粉末の材料にレーザーを照射することはレーザー焼結法と同様ですが、材料を溶かして固結させ成型するという違いがあります。レーザー溶融法で使用するレーザー光は、レーザー焼結法で使うものよりも高出力です。高出力レーザーで粉末材料を溶かし、固結させたあとに粉末材料を重ねて作業を繰り返していきます。

3Dプリンターの材料

3Dプリンター

2013年頃の3Dプリンターブームでは、毎日のようにメディアに3Dプリンターが取り上げられ、カラフルな樹脂でできた造形物を目にしました。その影響か、どうしてもプラスチッキーなイメージがある3Dプリンターの材料。実は樹脂にもさまざまなものがあり、金属材料も多くのバラエティの中から選ぶことが可能です。以下に3Dプリンターで主に使われる7種類の金属材料について説明しましょう。

金属材料について

・鉄

粉末状の鉄は、主に磁気回路のパーツ製造に使われます。

・ステンレス

耐食性に優れるステンレスは、機械部品を中心に使用されています。

・マルエージング鋼

ニッケルとコバルト、モリブデンの合金がマルエージング鋼です。高い硬度を持つことが特徴で金型やバネ、パーツなど幅広く使用されています。

・アルミニウム

軽量なアルミは、機械部品をはじめとするさまざまな用途に使用されています。

・銅

熱伝導性に優れる銅は、電気機器や熱機器に多く使われます。

・インコネル

耐熱性に優れるインコネルは、自動車や航空機関連製品に多く使われる金属材料です。

・チタン

チタンはアルミのように軽量で、しかも生体との相性が良いのでインプラントなど医療においてよく使用されます。

金属3Dプリンターのメリットとデメリット

3Dプリンター

金属3Dプリンターは、ご紹介したとおり、粉末状の金属にレーザーを当てながら成型していきます。積層のピッチは0.02mmから0.05mm程度で、この層を完全に積み上げると立体ができあがります。ソフトクリームの機械をイメージするとわかりやすいかもしれません。この積層方式にはメリットもデメリットもありますので解説しておきましょう。
金属3Dプリンターのメリットとしてよく語られるのは、切削など、これまでの金属加工法では不可能だった形状でもプリントアウトできること。また、大量生産には向かない=少量でもコストが大して変わらないので、実は一点物の製作に適していることです。特殊なパーツ、ニーズのそれほど多くないパーツなどを製作するには最良の方法だと言えるでしょう。
一方、デメリットとしてよく語られるのは、金属3Dプリンターで立体成型する場合、切削など、これまでの金属加工法よりも時間がかかることです。そのため、すでに触れましたが大量生産には適していません。また、従来の方法よりも造形精度の点で劣ることや、機器の値段自体が高いこともデメリットに挙げられます。
これらをまとめてみましょう。
3Dプリンターを使って、特に金属をプリントアウトする場合のメリットは「コスト削減」と「生産性の向上」です。これまでの金属加工法では、精度の高い加工が可能ですが、その分、人件費などのコストが発生します。プロトタイプの作成などは外部に依頼することも多いプロセスですが、自社に3Dプリンターを導入すればかんたんに、しかもすばやく作ることができます。
生産性の向上も金属3Dプリンターを導入するメリット。開発初期から立体モデルを製作できるので、たとえばミーティングやプレゼンの際でもイメージがわきやすく、実際の製品作りの際に発生する可能性のあるリスクについて備えることも可能になります。開発工程がスムーズになることでクオリティ向上などに使える時間も増します。

金属3Dプリンターのメリットはもの作りを変える

金属3Dプリンターについて、その造形方式やメリット・デメリットについてご紹介してきました。これまで、金属を造形する場合は「鋳造」「鍛造」「溶接」などの方法で行われることが一般的でしたが、これらは精度の高い造形ができるものの、手間がかかることが課題でした。3Dプリンターによる金属造形は、金属の粉末を焼き固める(溶かし固める)という画期的な方法です。自社の業務内容に合わせて導入することができれば、もの作りに革命をもたらしてくれることは確実です。すでに海外では、プロトタイプの製作以外にも、ロケットエンジンのパーツ製造など、最終製品の製造に金属3Dプリンターが使用されています。今後も技術の進歩と共に、金属3Dプリンターの活用はあらゆる分野で進んでいくものと考えられます。